政治ニュース その2 米中関係悪化で中国の米国債保有見直しは進む?

政治ニュース その2 米中関係悪化で中国の米国債保有見直しは進む?

 導入部分

 米中関係の急激な悪化により、中国側の米国債の見直しが進んでいます。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると、専門家の話として、米中間の対立激化を受けて、中国が米国債の保有を段階的に削減する可能性がある、と報道されています。しかしながら、中国側が本気で米国債の保有比率を見直すかは、疑問です。こちらについて、詳しく見ていきます。

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 詳しく解説

 中国は現在、米国債の保有額が世界2位の1兆740億ドル(2020年6月末時点)となっています。中国は米中関係悪化の影響を受けて、国債の保有額を減らすことで、トランプ政権に圧力をかけようとしています。中国が米国債を売却することで、金融市場を混乱させ、米国債をデフォルト(債務不履行)に追い込もうとしているという、圧力を掛けられるからです。

 一方で、ドルを売るということはドル安元高を招くことになります。中国は安い製品を海外に売ることで高い競争力を維持してきました。その体制を自ら崩すことにもなりますし、事実上米国債に対する固定為替相場を維持している中国にその選択肢があるのかは疑問です。

 トランプ側はどのように動くと考えられるでしょうか? 恐らくトランプ大統領は、中国側が米国債の売却に動いた場合、中国の要人が米国に保有する個人資産の凍結という最強のカードを持っています。トランプ大統領は2020年11月の大統領選挙後に本格的な個人資産の凍結というカードを行使するという方向に動くことも十分に考えられます。

 今、習近平政権は、この問題で、胡錦濤など多くの重鎮から突き上げを受けているという話を聞いています。追い込まれた習近平国家主席は、その解決手段を外部に目を向けさせる政策をとり、香港国家安全法の制定や、尖閣や南沙諸島の海洋支配の拡大を続けています。ある意味、第2次世界大戦の前の段階と状況は似ているのかもしれません。

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