相場事例その6 ヤオコー連続31期連続増収増益でギネス街道を突き進む
相場事例その6 ヤオコー連続31期連続増収増益でギネス街道を突き進む
埼玉県を地盤にスーパーを展開するヤオコーは、2020年3月期で31期連続増収増益の偉業を達成しています。既存の主力商品の販売拡充や、自社のPB商品「Yes!YAOKO」、ライフコーポレーションとの共同開発PB「star select」を既存商品・新規商品の拡充を図ったことが寄与しています。連続で成長し続けられる秘訣には何があるのかを探っていきます。
ヤオコーが成長し続けられた強みは、独自の販売網を築いていくスタイルが埼玉県に馴染んだからです。かつては、イトーヨーカー堂や西友など関東近郊に張り巡らせたGM(総合スーパー)が力を持っていました。当時は駅前に店舗を隣接させるスタイルが成功の鍵とされ、特に西友は西武鉄道のグループ企業として、主力駅に展開する形で、成功を収め、西のダイエー、東の西友などと称されていました。対してヤオコーは、ショッピングモール型で靴屋や蔦屋など様々な店舗をスーパーに複合させるスタイルで顧客を取り込んでいく戦略を取ることになります。
また、弱小時代は、イトーヨーカー堂や西友など大手の人材を引き抜いて、自社に取り込むことで、ノウハウを蓄えていきました。こうした大手で教育を受けた人材を受け入れることで成功の足がかりを築いていきます。
ヤオコーは、家族経営に特徴を持っており、川野家が代々社長を務める企業です。雇われ社長が社長を務めていないことが、長期的な視点で物事を捉えることができる経営に繋がっているのかもしれません。同じ創業家が社長を務めるニトリも、2020年2月期で34期連続増収増益を達成し、ヤオコー以上の記録を誇っています(タイトルにギネス記録と書いてしまい、すいません)。雇われ社長では、自分の成果がでないと解任されるので、長期的な視点に立つことが出来ない傾向にあります。
近年、東芝や日産など超巨大企業がダメになるのには、長期的な視点に立った経営ができていないことが考えられます。内部の権力闘争に勝っても、良い製品やサービスを生み出せていない背景が、こういった社内人事にあるのかもしれません。ちなみに、ドイツなど海外企業では、大きなブランドを築いた創業家は尊敬される存在です。日本は清貧汚富という言葉がありますが、米国ではビル・ゲイツやジェフ・ベゾスなど1代で事業を築いた経営者は尊敬される存在です。また、創業家は代々小さい頃から経営者として教育を受けているので、貴重な人材になりやすいです。
話は戻りますが、ヤオコーは2018年に第9次中期経営計画を策定し、商圏1キロシェア25%、店舗作業15%減、新規出店と継続的な出店戦略を掲げています。2020年3月末時点で店舗数は、グループ全体で178店舗(ヤオコー166店舗、エイヴイ12店舗)となっていますが、野心的な出店目標を掲げています。長期目標として、売上高1兆円、500店舗を目指しています。なお、同社の2020年3月期の決算短信について、売上高は4604億円、営業利益は198億円、最終利益は124億円となっています。
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近年は店舗作業の省力化に注力しており、セルフ精算レジ導入店舗の拡大や、業務支援の根幹となる新基幹システム導入などIT・機器の活用するなど業務効率化を進めています。また、デリカ・生鮮センターを積極的に活用し、店舗作業の省力化と商品価値の拡大を同時に実現させるなど、「製造小売」というスタイルを確立しつつあります。
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