リンガーハット、コロナ禍で大打撃起死回生を模索

リンガーハット、コロナ禍で大打撃起死回生を模索

 導入部分

 リンガーハットの2021年2月期の業績は、売上高が340億4,900万円(前期比28%減)、営業損益が54億300万円の赤字(前期は15億5,400万円の黒字)、最終損益が87億4,600万円の赤字(同2億1,000万円の赤字)となりました。コロナウイルスの感染拡大により、2度の緊急事態宣言が発出されます。また、時短要請などで大幅な売上減となり、不採算店舗の大量閉店を余儀なくされ、2009年2月期を超える過去最高の赤字となりました。

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 詳しく解説

 リンガーハットは、2009年2月期に当時の過去最高の赤字を記録します。2009年2月期通期には、最終損益が24億3400万円の赤字となります。当時の外食産業の値下げ合戦に巻き込まれ、商品の価格を下げるために、人件費を引き下げます。その結果、サービス品質が低下し、客離れが起こります。

 この危機を脱するため、改革を断行します。その取り組みの1つとして、顧客満足度アップに向けた「国産野菜100%」プロジェクトを実施します。どん底状態に陥っていた2009年10月、全店舗において使用するすべての野菜を国産に切り替えるという大胆な試みを行います。

 その1年前から15道県・約40産地の農家と連携して、野菜を国内調達、商品化し、全流通できるまでのシステムを整備していました。そのころ、顧客の志向は、価格重視から健康志向への変化が見られ、リンガーハットの戦略はこのトレンドにうまく乗ることができ、危機を乗り切ります。

 国産の野菜に切り替えたことに加えて、首都圏やショッピングセンターなどへの集中的な出店戦略が業績を大幅に拡大させます。近隣のショッピングセンターのフードコートに集中的に出店させることで、売上を安定させるだけでなく、家族層の取り込みに成功させ、いっときは盤石な経営基盤を築きかけたかに見えます。

 しかしながら、コロナウイルスの感染拡大が状況を一変させます。それまでの家族向けのフードコートの安定して稼げるビジネスモデルが崩れ、売上を失っていきます。2021年に入り、緊急事態宣言での行動変容がリンガーハットの経営に大きな打撃を与えます。2021年2月期の売上高は340億4,900万円(前期比28.0%減)、営業損益は54億円の赤字(前期は15億5,400万円の黒字)、最終損益は87億4,600万円の赤字(前期は2億1,000万円の赤字)となりました。

 緊急事態宣言の影響による時短営業や休業要請が大きく影を落としています。但し、企業側は、2021年7月時点でリストラをせずに乗り切るという会社が方針を掲げています。リストラを実施すると辞めてほしくない人からいなくなってしまい、勝負どころで戦える人材が残っていなかった事態になります。リンガーハットには、社員の活力を残していると言えるので、ポストコロナ後への浮上への期待をしたいところです。

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