相場事例その3 選択と集中は経営者の英断? それとも 武田薬品

相場事例その3 選択と集中は経営者の英断? それとも 武田薬品

 導入部分

 武田薬品工業は、ビタミン剤「アリナミン」など一般大衆薬品事業を米投資ファンドブラックストーンに売却します。日経新聞によると、売却額は2500億円ほどとされています。今後はより収益性の高い医療用医薬品事業に経営資源するようです。一方で、これは経営者の英断と呼べるのでしょうか? 昨今の選択と集中という言葉は、経営者の経営責任を問われるのを回避するため、優良事業を売却している傾向が多いです。真に英断かどうかは売却の中身を判断しないといけないでしょう。

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 詳しく解説

 武田薬品工業は2019年、6兆円超を投じてアイルランドの製薬大手シャイアーを買収しています。買収の背景には、新薬で長らくヒット商品を生み出すことが出来なかったことにあります。新薬を開発すると巨額の利益を生み出す一方で、開発費は巨額となりがちです。また、世界では新薬を開発するファイザーなどの巨大企業との競争が激しさを増しています。

 シャイアーを買収したことで、4兆円ののれんと有利子負債が膨らんでおり、事業を逼迫させています。そのため、コア事業ではないものの、大衆薬として利益をあげてきた、武田コンシューマーヘルスケアを売却することで、債務を軽くする方針。ちなみに、売却元の2019年3月期の売上高は641億円で、営業利益は129億円でした。

 今のところ、選択と集中は正しいように報道されていますが、事業売却の背景には、身の丈以上の企業を買収したことで、苦しんでいたことを忘れてはいけません。武田薬品は、19年5月にも医療用眼科薬をスイスのノバルティスに約5800億円で売却することを決めています。武田薬品に限らず、選択と集中の名の下、優良事業を売却する企業はたくさんあります。売却が真に戦略を持って行われたものなのか、単なる経営者の逃げ文句で行われたものなのかは注意する必要があります。

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