相場事例その25 ぴあコロナ禍でイベント中止、大幅赤字へ
その25 ぴあコロナ禍でイベント中止、大幅赤字へ
チケット販売大手で「チケットぴあ」を展開するぴあは、2021年3月期第3四半期(累計)決算を発表。売上高は485億円(前年同期比62.1%減)、営業損益は49億円の赤字(前年同期は6億の黒字)と大幅に収支を悪化させています。緊急事態宣言の再発令が影響し、実に11年ぶりの赤字に転落しています。
ぴあは、今期のコロナウイルス感染拡大により、多くのイベント自粛中止・入場制限の煽りを受けています。この結果、10年ぶりに無配に転落する結果となっています。なお、無配になると、株式市場では売りシグナルを意味します。
12月末時点で手元資金の残高は133億円。一方で、1年以内に返済を迫られる短期借入金は145億円ですが、三井住友銀行など主要銀行との間で150億円の1年以上の長期借入金に振り替える契約を結び、当面の資金繰りの問題を乗り越えようとしています。
この難局を乗り切るために、従業員の給与カットや経費の2割カットなども行っています。そのうえで、東京きらぼしフィナンシャルグループによる、自己資本の処分による22億円の自己株式の処分、従業員に譲渡制限株式4億円を付与し、自己資本比率を強化し、難局を乗り切ろうとしています。
ただ、個人的には、従業員に株式を購入させる行為や給与カットなどは従業員の勤務意欲を削ぐ行為だと思われるので、効果のほどは正直疑問です。1年程度は資金繰りが持つと思いますが、根本的に解決させるためには、コロナが解消するのを待つよりも、新たな収益源の獲得を目指すことが必要だと思います。
ただし、従業員数は340名程度なので、新規のビジネスモデルを作れる可能性は十分につくれる可能性はあります。創業期に西武グループと業務提携をした折に、ノウハウだけ盗み取られた苦い経験があっても、その対立にも打ち勝った実績がある企業です。今回の危機も乗り越えられると期待しています。
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