相場事例2 無策な経営手腕に沈んだパイオニア

相場事例その2 無策な経営者に沈んだパイオニア

 導入部分

 かつて、昭和時代は憧れの就職先とされたパイオニアは、2019年3月に上場廃止に追い込まれました。プラズマテレレビ「KURO」の過剰投資と09年の撤退により、創業家社長を失い、将来の道標を失ったパイオニアは、その後労働組合などの力を借り、小谷進氏が社長に就きました。しかしながら、主な手腕は、事業の切り売りとリストラでした。祖業の音響事業や稼ぎ頭のDJ部門など象徴とされる事業や黒字事業を支えた、外堀を埋めていき、経営体力を奪っていきました。

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 詳しく解説

 パイオニアは、09年のプラズマテレビの失敗以降2020年現在まで、回復の軌跡を描くことなく衰退の歴史を歩んできました。途中、ホンダやシャープからの支援を受けましたが、赤字体質からの脱却を果たすことが出来ずに、2015年には祖業の音響事業「ホームエレクトロニクス」をオンキヨーに、DJ部門「パイオニアDJ」をKKRに売却し、売却益を獲得しますが、事業は上向きません。一方で、2017年には業績が回復し、今後は復配を目指すと言っていましたが、その後、トヨタから受注したカーナビの開発費が想像以上に膨らんだことで、倒産寸前に追い込まれていきます。

 一部の噂話ですが、トヨタとの提携前にあるコンサルタントがトヨタとの提携に強く反対されていたにも関わらず、経営陣の判断で提携を進めたことで、業績を急速に悪化させたそうです。18年1月にパイオニアFAを新川に、18年12月に東北パイオニアEGをデンソーに売却しました。本体は、三菱を中心とした銀行団から借入金の返済を迫られ、ホンコンの投資ファンドベアリングの傘下で経営再建を目指すことになります。

 上場廃止後は、主に十和田パイオニアを加賀電子へ、サイクリング事業をシマノへ、半導体製品の開発を手掛けるパイオニア・マイクロ・テクノロジーを中国企業に売却し、利益を出していたほぼすべての内堀を埋めてしまいます。最後に2020年に売上高の80%以上を占める、主力の車載事業の市販ナビの新モデルの販売を辞めてしまったのです(2020年8月時点)。

 ちなみに、2018年に社長を退いた小谷進氏は、2020年8月時点で祖業を売却した、オンキヨーで取締役の役職を得ています。ここからご判断頂きたいのは、経営者はどんなに経営手腕が無くても、他社で高額な報酬で再起を得るチャンスがいくらでもある点です。長くなりましたが、投資を行う際は、ぜひとも経営者の経営手腕は注意を払ってほしいものです。

 就任に関してはオンキヨーのプレスリリースを御覧ください。

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