相場事例その14 NTTから考える、親子上場解消は正義か悪か?
相場事例その14 NTTから考える、親子上場解消は正義か悪か?
NTTは2020年9月、子会社のNTTドコモを完全子会社化する方針であると明らかになりました。買収に当たり、3メガバンクによる協調融資を実行、4兆円を投じる予定です。思惑として、次世代通信規格「5G」の活用に当たり、共同購入することで、乗り越える戦略です。親子上場は、日本企業ではよくある手法ですが、株主にとって、不透明な点などもあることから解消する動きも広がっています。
日本企業では、古くから親子上場という手法で資金を集めてきました。しかしながら、親子上場には、デメリットもあります。少数株主の意見が反映されない、利益を親会社が吸い上げるなど弊害も指摘されています。東京証券取引所も2007年に親子上場は「望ましくない」と意見を述べている。
こうした流れを受けて、親子上場を解消する動きも見られます。有名なのが、セブン&アイホールディングスによるイトーヨーカドーの完全子会社化です。完全子会社化により意思決定を早める意図と、東証から睨まれるのを防止するという意図があります。
一方で、親子上場を維持する企業もあります。イオンは、子会社にマックスバリュー九州、ウエルシアホールディングス、ミニストップなどを抱えています。同社によると、上場を維持することで、意思決定のスピードを早めるとしています。また、ソフトバンクグループも、2018年に携帯子会社のソフトバンクを分離上場させ、見事に親子上場を果たしています。親子上場を解消する中、資金調達のため、あえて逆光する企業もあります。その成果はいつ頃明らかになるのでしょうか。
今回NTTは、携帯子会社のNTTドコモを子会社化すると発表しました。その後、株価は5%以上下落しました。株価下落の思惑の要因として、NTTの約3割を財務大臣が保有しており、政府が進める携帯料金引き下げの影響が強まることが懸念されています。この要因は別にしても、買収金額は4兆円規模と高額なため、それを投資家が嫌ったという見方もできます。いずれにしても、投資家から支持されていないことは、株価を見ると明らかです。その評価を覆せるかが今後の注目点です。
以下に主な親上場と親子上場を解消させた企業を紹介します。


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