経済ニュース その6 日本が締結したEPAを振り返る
経済ニュース その6 日本が締結したEPAを振り返る
日英EPAは2020年9月、大筋で合意されました。日本と欧州連合(EU)が締結した合意内容を踏襲する形で概ね合意されたようです。英国は2020年1月末をもってEUから離脱しましたが、その代替となる国際協定の締結を急いで行った格好となりました。日本は、国際協定を締結させることで、関税を撤廃させ、日本製品の売り込みに積極的になっているのです。
日本は経済連携協定(EPA)の締結に積極的に展開しています。背景にあるのは、日本の少子高齢化に伴う人口減少が続いていることが挙げられます。
日本市場は、実質的に国内市場が縮小しており、海外市場に活路を見出すのは自然な流れとなっています。特にコロナ禍の現状、飲食、宿泊、製造業などほぼ全産業の内需が消滅しているため、国内のみで経済を回すことは難しくなっています。
日本は2000年代に入るまでは、全世界が一括して関税の引き下げを行う方式を積極的に展開していました。1993年のウルグアイラウンドまではその方針は大当たりでした。しかしながら、2000年代のドーハ・ラウンドでは大きな成果を上げることは出来ませんでした。一方で、その間、主要国は個別交渉による関税撤廃を展開したため、日本は価格競争力で遅れを取るのです。
トヨタ自動車は、1円ドル高になると400億円の利益が減ると言われています。それだけ、為替の影響は大きいのです。しかも、今後は円安への誘導は簡単ではありません。そんな過酷な競争環境の中、生き残りを掛けて関税撤廃に奔走するのです。
特に自動車産業を守る動きは、必死に展開されています。かつて日本は電気産業・自動車産業の2つを収益の屋台骨を保有していましたが、屋台骨の1つである電気産業が中韓勢に押されて力を失ったことで、自動車産業を保護することは死活問題となっているのです。
他にも日本の農産物や伝統産業などの関税が撤廃されていますが、端数の話だと言わざるを得ません。日本でも一時日産とホンダの合併が協議された時期があったそうです。それだけ日本の国際競争力は低下しているのです。
2012年12月に就任した安倍政権時は、外交政策で大きな成果をあげており、TPP11やEUなど巨大市場への関税撤廃にこぎ着けています。参考までに次の表に日本が締結したEPA一覧を掲載しておきます。

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