チャイナショックを振り返る

チャイナショックを振り返る

 導入部分

 中国の景気失速懸念や金融政策の変更やシャドーバンキング問題が尾を引き、2015年6月に上海総合指数が下落する事件が発生。中国の株価下落が世界中の株価に影響を及ぼし、中国初の世界恐慌を引き起こしかけたのです。

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 詳しく解説

 2015年の上海株式市場は、過去最高の水準で株価が上昇します。上昇の背景には、2015年3月に行われた両会(人民代表大会と政治協商会議)で周小川中国中央銀行総裁が「株式市場への投資は実体経済への投資でもある」と発言。これを受けて、中国の主要各紙「新華社」や「人民日報」などの政府系メディアが報道します。

 中国株は、政策に左右されやすいです。政府の意向で株価動向が決まる「政策相場」といわれ、中国の個人投資家の間では「人民日報を読め」という格言もあるほどです。このため、人民日報を呼んだ個人投資家を筆頭に株価上昇をけん引するのです。

 2015年3月に3300ポイントだった上海総合指数は、4月には4500ポイントとなる30%以上もの上昇を見せます。これに対して、CSRC(中国証券監督管理委員会)は、敏感に反応。IPO(新規株式公開)を増やし、投資資金を分散させ市場を冷却させる対策を取ります。

 しかし、人民日報は「4000ポイントは強気相場のスタートラインにすぎない」と報道。これをきっかけに投資家の心理は、熱狂的に切り替わるのです。結果、株式をやったことのない人の多くが株式投資を始め、信用取引に手を出す人が続出。6月には5000ポイントにまで上がるのです。

 2015年6月12日にリーマンショック後の最高値をつけましたが、週明けの6月15日には3%ほど急落し、バブル崩壊が始まりました。その後の3週間余りで、株価は3割以上も下落し中国市場はパニックとなります。

 企業側の株価対策として、上場銘柄の半数以上にあたる1400社に及ぶ企業が取引停止を申請します。常時1000を超える銘柄がストップ安を記録するなど収拾がつかない事態が続き、1300もの銘柄が取引停止になります。

 これに対して、中国当局は預金準備率と金利引き下げなどの市場操作を行いました。しかし事態は一向に好転の兆しを見せません。そのため、当局は、巨額の資金を捻出して株を買う、空売りを行う人を逮捕する、株式を売却させないという強硬手段に出ます。

【中国政府が行った対策】
・空売りを制限、違反者は逮捕
・大手投資信託と年金基金に株式の購入を誓約させる
・株式新規公開を停止
・中央銀行のバックアップで投資家が株式を購入するための基金を設立
・国営メディアを通じて株式の購入を促進
・企業の5パーセントを越える大株主が保有株を売却することを半年間禁止

 これら対策が行われた結果、株価は大幅に反発。100%を超える上昇率を見せる銘柄も複数登場、7月9日から7月24日にかけての2週間で上海総合指数は24%上昇しました。一説には、この間に、中国政府が動かした資金は、5兆元(80兆円)にも及ぶともいわれています。

 最後にチャイナショックを引き起こした代表的な事件をまとめます。

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