経済講義 その7 住宅は「持ち家」か「借家」か
経済講義 その7 住宅は「持ち家」か「借家」か
住宅を購入するか、借家で住み続けるかは、重要な問題です。多くの人は、持ち家に憧れを持ち、戸建住宅を購入しようとします。その際、大概の方が「35年ローン」などで住宅ローンを組みます。高度経済成長時代、日本の豊かさを代表する指標でしたが、終身雇用制度が崩壊した昨今、長期的に高額な借り入れを行うことに疑問が出ています。果たして持ち家がよいか借家がよいかを見ていきます。
持ち家がよいかどうかについて、見ていきます。かつて高度経済成長時代は、土地神話というものがありました。その時代、35年などの長期の住宅ローンを組んでも、多くの人は問題なく返済することができました。その理由は、土地価格が下落することがなく、購入した土地の価格が上昇し続けていました。また、定期昇給というものが毎年あり、高額な返済にも無理なく返済できていました。
この時代、土地価格が高く郊外でしか住宅が購入できないという問題はありましたが、それを差し引いても持ち家には大きな魅力がありました。多くの会社員は「一国一城の主」になることに憧れを抱き、銀行から融資を受け、購入していったので、日本はどんどん豊かになっていきます。ところがバブル崩壊した1990年代以降、土地神話は崩れます。住宅価格は購入後下落をしていき、購入時の価値を維持することはできなくなりました。
住宅を購入した後はどうするべきかを見ていきます。一般的な新築1戸建ての3000万円の物件を購入したことを仮定に説明します。新築の3000万円の物件を購入したとき、土地と建物価格はおおよそ2000万円の価値しかありません。一方で、住宅の戸建て業者や販売業者、広告業者の宣伝費用などに1000万円ほどかかります。また、住宅ローンを35年ほど組むと、金利が1%ほどであっても、返済時までに実質6000万円ほどを支払うことになります。
多くの人がこの点を認識できずに、住宅を購入します。高度経済成長以前は住宅を購入できずに借家で住む人が大多数で、1戸建ては憧れの存在でした。それだけ、本来は住宅を購入することは簡単なことではないのです。それを日本経済の高度成長がその常識を代えてしまったのです。
90年代以降、景気が悪くなり、高額な住宅ローンを払うことが出来ずに住宅ローンを手放す、人が増えていきます。特に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業業績が悪化し、ボーナスや給与カットが増えたことで、支払いが滞るケースが典型例です。基本的に住宅を買う時は、皆さんの35年分の富をまとめて手に入れることになります。普通に考えたら、高額な借金を35年掛けて返すことになるので、正気の契約ではないのです。たとえ、住宅ローンの金利が1%を切っていたとしてもです。政府の信用が地に落ち、国債の金利が急上昇した後の、住宅ローン金利の場合は、もってのほかですが…
今の条件だけをお伝えすると借家のほうがメリットがあります。高額な場合、住む場所を変えれば済む話ですから…。また、仕事の都合などで家を転々とする方も持ち家は向かないでしょう。家を買うのは、基本的に人生を賭けた一大事です。上記のようなリスクを踏まえた上で、住宅を購入するのでしたら、住宅ローンは最高の武器になります。これが出来ない人は、住宅を購入するべきではありません。この考え方は、企業経営と似ているかもしれません。事業の見通しも立てることが出来ない人が借り入れをすると見通しが誤り、会社を破綻に追い込んでしまいます。昨今のシャープ、ジャパンディスプレイ、パイオニアなどがその典型例です。特にパイオニアの経営陣はひどいことで有名です。
話を戻します。1戸建ての家に住みたい場合、どうすれば良いでしょうか? 筆者の見解として、新築の購入を選択肢から外すということです。新築の場合、3000万円以上するので、毎月の返済額が10万円を超えます。こうなると、経済不安があったとき、自宅を手番したり、最悪自己破産をする羽目になるからです。例えば、中古物件で1000万円~2000万円程度に抑えることができれば、メリットは大きいと思います。35年ローンを組んだ場合、毎月の返済額は4万円程度に抑えられるので、借家に住むよりも毎月の家賃よりも安く抑えられるからです。こうした考えを持っている人にとっては、一戸建ては最良の転宅しと言えるでしょう。
今の時代、銀行員や不動産業者が勧める物件を購入してはいけません。購入はインターネットでご自身がよいと思う物件に目星を立ててから、選択するようにしましょう。住宅ローン価格を月額5万円以下に抑え、仕事と趣味などとのライフワークバランスを取りながら、旅行ややりたいこと、子供の将来に向けた投資など別のことにお金を振り分けたほうがより楽しい未来が待っているのです。これは、筆者オリジナルの見解です。なお、筆者はフィナンシャルプランナーの資格を有しています。希望があれば、続編を書かせて頂きますので、お問い合わせフォーマットにご連絡をください。m(_ _)m
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