経済講義 その13 日本の不正問題が競争力を低下させる
経済講義 その13 日本の不正問題が競争力を低下させる
日本の企業や官庁などを問わず、不正が相次いています。最近では三菱電機に代表されるJR向けの空調設備の不具合など相次ぎ、三菱ブランドそのものへの信頼性が揺らいでいます。その他、日産の無資格者による完成検査や東芝の粉飾決算など日本を代表する企業を中心に品質が劣化しています。
かつて日本を代表していた企業で不正が相次ぎます。この背景には、原価ギリギリによる過密労務や一人にかかる負荷が昔と比べて格段に増えていることが挙げられます。品質を追い求める国民性から高い品質を追求した商品を作り続け、それがものつくり大国の日本をけん引してきました。
ところが1990年以降になって、技術が韓国や中国など新興国に流出し、人件費の安い国々との勝負にさらされたことで、品質とコストとの両立を強いられ、どんどんいい製品を作っていく文化が変質していきます。かつては壊れない電化製品が売りであった日本家電も最近では、長持ちせず持ち味の技術が消失してしまいます。
賃金を切り詰めることは、公的部門、民間部門を問わず、一時的には収益が改善されますが、労働者のマインドが落ち、挑戦心ややる気、品質管理へのこだわりを削いでいき、結果として品質管理は悪くなっていきます。そんな製品やサービスに対する価値はないため、売れずさらに貧困へのスパイラルに陥っていくのです。
大企業はそうはいっても賃上げなどの対応がなされる可能性があるためまだよいかもしれません。

基本的に下請けになればなるほど取り分が搾取されていきます。日本は長らくこうした構造になっており、特に下請けの企業が日本経済を支えているのですが、何もしていない人ほど利益だけむしり取る構造になっています。しかも、日本全体がどんどん貧しくなっているので、下請けの人たちは生活が苦しくなっていきます。その結果、品質不正が横行することになるのです。あらゆる分野で広がっていきます。
品質を再度保ちながら競争力を高めていくためには、短期的な経営環境と国の強力な産業保護が必要です。しかし今どちらも対応できるようにする強力なリーダーシップが欠けているため、労働者の総貧困化が進んでいるのです。これを変えるには、優秀なリーダーが必要ですが、日本にはサラリーマン根性の経営者ばかりで創業リーダーが少ないのに問題がありそうです。長期的な経営環境ができれば、改善への第一歩ができるとは思いますが…
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