第5級 その6 有事の円高とは

第5級 その6 有事の円高とは

 導入部分

 この章では、有事の円高について解説していきます。日本は実は対外純資産で世界一を誇るお金持ち国家なのです。このため株式市場で危機が起こると日本円が買われる現象を有事の円買いと表現されるのです。

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 詳しく解説

 有事の円高は阪神淡路大震災やリーマンショック、東日本大震災などで起こっています。最近では2020年3月に起こったコロナウイルスの感染拡大で株価下落が起こった時も円高が進みました。円が買われる要因は、なんといっても対外純資産が世界一であることです。2020年末時点で356兆9700億円と30年連続で世界一なんですね。この根拠から何か問題が起こったときに円高が進む事象が発生します。その時多くのアナリストが有事の円高などと表現するのです。

 特に3.11の東日本大震災の折に保険会社が保険金の支払いのため、円への移動が進むとの思惑から、日本のマーケットでは猛烈な円高に襲われます。ヤフーファイナンスで3月10日の米ドル-日本円レートを確認すると、終値が82円87銭、これが3月17日には安値77円16銭と、僅か数日の間に対米ドルで5円以上円高となり、1995年に記録した円高の過去最高値を更新してしまいます。しかしながら、保険会社が保険金を支払おうとすると本当に円高が進むのでしょうか??

 日本の保険会社が地震で支払うのは、地震保険金と生命保険金です。日本損害保険協会、および日本生命保険協会によると、この時の地震保険金の支払いは1兆2,600億円、生命保険金の支払いは1,600億円、合計で1兆4,200億円でした。保険会社の保険金はおおむね3か月間で3000億円を日本円に変える必要があるとのことでした。1日あたりに換算すると30~40億円程度です。米ドル-日本円取引額は1日あたり3,000億ドル(当時のレートで約25兆円)程度です。保険金が円高を招くことは理論上考えられませんが、市場が煽ることで本当のことのように語られるようになるのですね。

 日本はまだまだ純債権国ですので、有事の円高は説明はまだ付きますが、国の借金は対GPP比で250%と日本の第2次世界大戦末期の頃並みの水準です。現在は有事の円高は起こりえますが、今後日本の国際競争力などが落ちれば、有事の際は円安に進む可能性もあるので、金融の教科書の基本を疑ってみる必要はあるでしょう。

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